
8月下旬から9月にかけて、ひと月ほど、「茅野市民館」で演劇のワークショップをさせていただきます。そして、その作業の中から、新しい形の新鮮でユニークな演劇が生まれることを楽しみにしています。
何故、「茅野市民館」を選んだかというと、この施設がとても気に入ったからです。この豊かな演劇環境の中で、優秀な、俳優たち、ミュージシャンたち、パフォーマーたちが集まって、試行錯誤しながら、作品をつくっていきたいと思ったからです。そして何より、こんな施設を支えている、茅野のみなさんとの出会いの中から、何かが生まれることを期待するからです。
今回の題材は『ファウスト』です。といっても、ゲーテの書いたあの有名な『ファウスト』ではなく、そのおおもとのお話、つまり実在したとされている錬金術師ファウスト博士の物語が出発点です。実は民衆の好奇心と想像力が語り伝えた「ファウスト博士の伝奇」から、多くの作家が戯曲を書いたのです。そして極めつけが、ゲーテが生涯をかけた戯曲なのです。人間の限りない欲望と、科学の出発点のような錬金術、そして謎の消滅。
一昨年は、「まつもと市民芸術館」で同じ題材をもとに、俳優たちがワークショップを行いました。今回は、俳優のほかに、ヨーロッパのサーカス芸人や音楽家たちも交えて、もう少し具体的な姿が見えてくることでしょう。その間に、この作品作りの工程を皆さんに見守っていただき、感想など聞かせてもらえたら嬉しいです。
それから、集まった俳優や芸人たちとみなさんとの交流のワークショップも開きたいと思っています。今僕の頭の中は楽しい計画でいっぱいです。
串田和美
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